ショートスティという介護サービスをご存知でしょうか。
ショートスティは、介護保険上では「短期入所生活介護」と呼ばれています。
利用者がショートスティ施設に数日から2週間ほどの一定期間において宿泊され、その利用者に必要な介護を受けることができる施設になります。
ショートスティにおいても介護職員が配置されており、宿泊される方に対して必要な介護サービスを提供します。
ショートスティの介護職員の業務内容は特別養護老人ホームなどに入所されている利用者に対する業務と似ています。
ショートスティではその日に入所される方の入所業務や、その日に退所され帰宅される方への退所業務などもあり、その日その日で入所されている利用者が違うといった特色があります。
ここではショートスティについて、その介護サービスの内容や、実施している施設、行われている介護業務などについて説明していきたいと思います。
ショートスティは介護保険上において、短期入所生活介護事業所の認可を得ている施設が行う介護サービスとなっています。
ショートスティの施設は、ショートスティサービスだけを行っている単独サービスの施設もありますが、多くは特別養護老人ホームとの併設や介護老人保健施設での併設において行われています。
ちなみに介護保険法上において、特別養護老人ホームに対するショートスティは短期入所生活介護といい、老人保健施設など医療系のショートスティの場合は、短期入所療養介護といいます。
ショートスティでは、宿泊中において基本的に24時間体制の介護サービスを受けることができます。
在宅で生活をしている高齢者など、身体が不自由である方が利用されます。家族の休息(レスパイト)を目的として利用される事も多くあります。
ショートスティでも介護サービスは、食事や入浴、排せつといった介助をはじめとして、生活に必要なさまざまな介助を受けることができます。
老人保健施設など医療系でのショートスティの場合においては、専門スタッフによる医療的なサービスやリハビリテーションサービスを受ける事も可能です。
ショートスティでは、特別養護老人ホームと同じように、基本的な介護を提供しなければなりません。
そもそも特別養護老人ホームと併設してショートスティサービスを行っているという事業所でしたら、特別養護老人ホームに入所されている利用者と一体的に介護業務を行っているところも多くありますので、その場合は特養入所者と分け隔てなくサービスを行う事になります。
その場合であっても、特別養護老人ホームの職員、ショートスティの職員と配置上では定められてはいますが、業務としては分け隔てなく行う必要があるところも多くあります。
多くのショートスティでは、利用者に対する介護業務は、タイムスケジュールに応じて行う事になります。参考にひとつの例でイメージして頂きたいと思います。
7時 朝食準備、利用者に対する身支度、口腔ケアなど
7時半 利用者の朝食介助
9時 利用者の排せつ介助
9時半 ショートスティ入所者の受け入れ業務
利用者の入浴準備、健康チェック
10時 利用者の入浴介助
入浴されない利用者の対応、レクリエーションや個別活動など
利用者の入浴後の水分補給、爪切りなどの対応
11時半 入浴設備の後片付け
昼食準備、体操など
12時 利用者の昼食介助、口腔ケア、利用者の服薬の補助、見守りなど
13時 利用者の食後の対応、排せつ介助、臥床介助など
14時 利用者の入浴介助
入浴されない利用者の対応、レクリエーションや個別活動など
15時 利用者のおやつの介助、水分補給など
ショートスティ退所者の退所業務
17時 夕食準備
17時半 利用者の夕食介助、口腔ケア、利用者の服薬の補助、見守りなど
20時 利用者の眠前薬の服薬の補助、見守りなど
21時 更衣介助、消灯。
22時〜 定時に利用者への排せつ介助、巡回、利用者への対応など
多くの事業所では、午前中には入所されてくる利用者の受け入れ業務を行います。
受け入れ業務とは、入所された際の利用者の生活状況や身体状況、健康状態などを確認します。
前回の利用時とお変わりがないかなどを確認します。利用者に対して入所される居室を案内し、持参された荷物を確認し、必要に応じてタンスなどにしまいます。服薬する薬などを預かる場合もあります。
午後には、退所される利用者の退所業務を行います。
退所業務とは、利用者が入所されている間にお変わりがなく過ごされたかなど、家族に対する報告書をまとめます。
入浴された様子、排せつの状況、食事量や水分量、服薬の状況など記録します。忘れ物がないように荷物をまとめます。
入所・退所が多い日や少ない日にバラツキがあり、その日によって業務量に差が出てくることがあります。
介護業務の流れについては、おおむね特別養護老人ホームに入所されている利用者への介護業務と同じ流れになります。
ただし、ショートスティでの難しさについては、「在宅で生活をされている利用者」への介護業務という部分になります。
例えば利用される方によっては、自宅ではないからゆっくりしたいという旅行気分で来られている方も中にはおられます。
そのような方が例えば数日間、あまり活動もなく過ごされるような事になると、その数日間でその利用者の身体能力を低下させてしまう事にもなりかねません。
家族の休息のためにショートスティを利用し、退所して帰宅したら歩けなくなっていて、以前よりも介護が必要な状況になっているという事になってしまったとしたら、何のためにショートスティを利用したのかわからない事になってしまいます。
自宅では家族に迷惑かけないように一生懸命自分の事をされている利用者が、ショートスティでは職員任せにしてしまうという事もありますので、介護職員としてはショートスティの持つ専門性をしっかりと理解しなければなりません。
特に在宅で生活を継続するということが究極の目的でありますので、自立や自律のための介護を行うという意味においては、かなり専門性の高い介護が必要であると言えるでしょう。
ショートスティは施設での介護を行う介護サービスではありますが、考え方としては「在宅サービス」になります。
ですので、在宅での生活をイメージしながらその利用者に対する介護業務を行わねばなりません。そこがショートスティの介護職員の面白さになるのではないでしょうか。
ショートスティ単独施設においては、ショートスティ介護職員として求人が出ています。
ただしショートスティ単独施設というものは、それほど多くは存在しませんので、特別養護老人ホームや老人保健施設のショートスティ業務を行う介護職員として募集が出されている事が多くあります。
介護求人・転職サイトなどでは多く登録されていますので、検索をしてみてはいかがでしょうか。