療養型通所介護という名称のディサービスをご存じですか?
ディサービスとは?
ディサービス利用者の7割が軽度
厚生労働省の発表によりますと、ディサービスの設置数は全国で約43,000箇所あり、そのディサービスを利用されている方の7割以上は要介護2以下の軽度者であると言われています。
要介護3以上はわずか24%程度であると発表されています。
現在ディサービスで勤務されている方でしたら、利用者が軽度者が多いという実感は多く持っておられるのではないでしょうか。
厚生労働省からもディサービスにおいて軽度者しか受け入れをしていないという施設が相当あるとの指摘もでているのです。
ディサービスの介護サービス内容
ではディサービスではどのような介護サービスをおこなっているのでしょうか。
ディサービスは、在宅に住んでおられる高齢者が施設に通っています。
そして、必要な入浴や食事、排泄といった介助を受けたり、機能訓練、レクリエーションなどのサービスを受けることのできます。
一部、お泊りディサービスというものもありますが、おおむね日帰りのサービスしか実施していません。
ディサービスの利用目的
外出が困難な高齢者等が自宅に引きこもってしまい、社会から孤立してしまうことを防ぐ中で、同居の家族などからの介護負担を軽減することを利用の目的としています。
在宅で現に生活されていて、いつまでも在宅で生活できるように高齢者等が利用されるサービスです。
重度者を受け入れるリスク
現状では軽度者の利用が多くなっています。
それは、受け入れるディサービス(介護サービス事務所)側からしても、重度者を受け入れるリスクが高いために敬遠していることも少なくありません。
どのようなリスクがあるかといいますと、何かしら事故が発生してしまうリスクや、受けいれるための医療体制の不備などが考えられています。
重度者を受け入れたとしてもそのディサービスに特別に報酬が上がるわけではありませんので、リスクを犯さずに軽度者をメインとして受け入れが行われているという現状があります。
重度介護が必要な方
しかし在宅において重度の介護が必要な方が生活できないか、というとそんなことはありません。
要介護5の方が家族と生活されていて、介護サービスをうまく使いながら、家族も介護を行っているという世帯はたくさん存在します。
そんな家族に必要なことは介護負担によるレスパイト(休息)です。
ですので、重度介護者、もしくは医療度の高い利用者を受け入れるディサービスは今後ますます必要になってくる介護サービスであります。
重度介護者もしくは医療度が高い利用者とは?
重度介護者もしくは医療度が高い利用者というのはどのような状況でしょうか。
具体的には、胃ろうが設置されている方、人工呼吸器を使っておられる方、寝たきりの方などになります。
特に医療度の高い利用者は、同居の家族にとっても精神的な負担が大きくなりますので、受け入れてもらえるディサービスが多くなってくれば、その負担もずいぶん軽減されます。
そのような方が利用できるディサービスが療養型通所介護です。
療養型通所介護(ディサービス)
療養型通所介護について、お伝えしていきたいと思います。
療養型通所介護とは?
重度の介護が必要な高齢者等を専門的に受け入れてくれる、「療養型通所介護」という名称のディサービスが存在します。
実はこの療養型通所介護は2016年の時点で全国に85施設しかないといわれています。このサービス自体は2006年に制度化されているのですが、それほど広がることなく存在しています。
その理由はやはり医療の体制がなかなか整わないということが根底にあるからといわれています。
この療養型通所介護はどうしても経験豊富な看護師を雇用しなければなりません。
しかし病院においても看護師不足といわれている昨今、高齢者福祉の分野に看護師を引き込むことは難しく、またそのような経験豊富な看護師を雇うには報酬が低いということが指摘されているのです。
在宅サービスを調整する役割を持つケアマネジャーにおいても、在宅生活をされている重度介護者を受け入れてくれるディサービスを見つけることはたいへん困難であるというのが現在の高齢者福祉の常識となっています。
そのために重度になってくると施設入所へとシフトせざるを得ないというのが、日本国内の高齢者福祉の現状であるといえるでしょう。
療養型通所介護の介護サービスとは?
数少ない療養型通所介護ですが、そこではどのような介護サービスが行われているのでしょうか。
とある療養型通所介護では、要介護5の寝たきりであっても、医療的な処置が必要であっても積極的な受け入れをされています。
配置されている看護師が必要な医療処置を施しながら、介護職員はその利用者が他の利用者と同じように食事や入浴の介護を受けながら、レクリエーションなどのサービスも受けられるように援助を行います。
当然介護職員は、重度な介護技術を要することになります。
一般のディサービスのように、コミュニケーション能力やレクリエーションなどで場を盛り上げることのできるエンターテイメント性も持ち合わせる必要は当然必要です。
しかし、それだけではなく重度介護が必要な利用者に適切な介護技術を行えるように高度な介護技術が必要になりますし、同時にリスクマネジメントなどができるアセスメント能力も必要になってきます。
療養型通所介護はこれからもっともっと必要になる
現在の介護保険、高齢者福祉の現状を言いますと、重度になってくれば施設入所を積極的に勧めてくるといった状況が少なからず存在します。
しかし施設入所だけしか選択肢がないという状況は、いつまでも在宅で生活がしたいといった高齢者の尊厳や、家族の思いに答えられていません。
ですので、これからさらに重度介護者においての介護サービスの選択肢というものは増えてくると考えられます。
これだけ高齢化が進んでいる社会ですので、いつまでも住み慣れたご自宅にて、人生の最後を迎えることのできる環境づくりというものはますます重要になってくるでしょう。
ディサービスにおいて重度者への介護技術をしっかりとマスターしていきたいと考えておられる方については、この療養型通所介護を探してみると良いのではないかと思います。
まだまだ設置数は少ないのが現状ですが、もしも介護業界への転職を検討されている方で自分自身の目的や通勤範囲に合うのであれば、検討のひとつに加えてみることも良いのではないでしょうか。
最後に
『しっかりと介護技術をマスターしたい!』『もっとスキルアップしたい!』と思っておられる介護士への転職希望の方、もしくは現在介護士として就業されている方に『療養型通所介護』への転職はおすすめ!
実際、重度介護者への介護技術をマスターしたいと思って、あえてディサービスへの転職を回避したり、ディサービスから重度介護が必要な利用者がたくさんおられる特別養護老人ホームなどに転職される方がおられます。
ディーサービスでも介護技術のスキルアップは可能となっています。
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